2012年2月13日月曜日

どうやって屋根に翼を? その1

今日は翼を屋根に上げる話をします。

トライクは分解して運びますが、とりあえずは胴体と翼に分かれます。
トライクの翼は基本的にはハンググライダーで
使うものと同じですが、胴体が重い分、丈夫にできており、
つまりハングの翼より重いのです。
いろいろ種類がありますが、一応45キロあると考えてください。

さてトライクの翼は棒状にたたまれ大抵はバンタイプの車の屋根に
積むことになります。バンタイプの車の屋根の高さは
キャリアーを含めるとだいたい
2.2メーターくらいになり、45キロの棒状のものを
この高さに持ち上げるのは大変です。
これまでいろいろ工夫がされてきまして、長い二又を作って
きて使うとか、はたまた体を鍛えるという単純な方法も
かなり一般的に取られてきたようです。

ところがトライク界の重鎮F氏が自身が腰を痛めていることも
あり、工夫して電動ウインチを使い始めてから、短い間に雪崩を打って
ほとんどの人が電動に宗旨換えしてしまい、今では誰も
力まかせに屋根に翼を上げるなどしたがりません。
「これができなくなった時が俺がトライクを止める時だ」などと
うそぶいていたにもかかわらずです。

電動ウインチシステムを作ろうと思うといろいろ考慮するポイントがあります。

1.翼は屋根の高さ+キャリアーの高さより高く吊り上げないといけません。
つまりバーのような構造物が必要ということです。

2.電動ウインチをどこに取り付けるにしても地面にあるものを上方に引き上げる
のが目的ですから、ウインチロープの方向を上下に誘導する仕組みが必要です。

3.地面から所定の高さまで引き上げるのは良いが
その際、空中にある翼を屋根の上まで持ってくるのにウインチ装置自体が
じゃまになるので、その解決策を考えないといけません。

現在いろいろなバージョンがありますが写真では90°曲げた単管を
使い、1.の高く吊り上げるということを実現しています。
この写真の例では(写真には写っていませんが)ウインチ本体は車の前方の屋根の
上に置いてあります。ウインチのロープをローラーで方向を変更させながら
単管の中に誘導できれば本体はどこに置いても構わないわけです。

さらに写真を良く見るとわかりますが、90°曲げた単管は径が少し違う別の
単管に差し込むことによって根元でつないであり、この部分が回転できます。
つまり翼を一度2.2メーターより高いところまで吊り上げて全体をぐるりと
180°回転させてバンの屋根の上まで持ってくる作戦です。

この単管システムの利点はシステムがシンプルで美しいということですが
欠点はいくつかあります。

まず90°曲げた単管の中でロープの方向が90°曲げられますが
この部分にローラーをつけることができないので
単管の中でロープが擦れます。滑らかな単管の中で擦れるので
いつもロープを点検して早めにロープを交換すればそんなに問題ないこと
なのですが、あまり気持ちの良いものではありません。
ちなみに2.2メーターの高さから(ロープが切れて)翼が落下すると
数10万円単位の修理費がかかる事故になる可能性大です、注意、注意。

最大の欠点は一度吊り上げた翼を180°ぐるりんと回さないと
いけないということで、この欠点は滑空場のような広い場所では
あまり現れませんが、自宅の駐車場のような場所で
翼を下ろそうとするとまず機能しません。
積みっぱなしにすれば済む問題ですが、車検の時など
翼を自宅で下ろさなければならない時は必ず来るものです。

--この話題続く--


2011年10月31日月曜日

滑空場

レッスンが行われる滑空場をご紹介します。
写真の緑の矢印が示している緑の地帯がそうです。
周りは畑なのですがグーグルが撮影したのがたぶん冬で
収穫が終わって耕してしまっているので灰色になっています。
滑空場では芝を育てていますので冬でも緑なわけです。

長さ約300メーターの滑走路の脇に台形の駐機スペースを取っているので
土地は変形の形をしています。トライクは約150メーター程度の滑走で
離陸します。

すぐ脇(写真では上)が荒川です。河川敷の部分が相当あるので
ここも緑が多い地帯になっているのがわかると思います。
対岸に熊谷市があります。交通が便利で航空局の許可がおりる
所はなかなか見つからないのでこの滑空場は貴重な場所です。

2011年10月29日土曜日

どうやって運ぶ?

さて突然ですがトライクはどうやって運ぶと思いますか?
二通りの方法がありまして、まず写真1のように台車に乗せて
牽引すること。もうひとつは写真2のようにバンタイプの
車に積んでしまうという方法です。



双方一長一短がありまして、

まず牽引の場合の欠点を挙げると、牽引免許がいる。
運転がたいへん。SAに入ったときトラックの
駐車場所にしか駐車できない。コンビニも入れない場所が多い。
駐車しておくと子供にいたずらされる。
雨が降ったとき機体が濡れるのであわてていろいろしないといけない。
高速代もフェリー代も非常に高い。

次にバンの欠点を言うと
両脇に出ている後方車輪を外さないと入らない。プロペラを外さないと
入らない。約200キロある機体を荷台に上げる工夫がいる。
なんてことが挙げられます。

しかし総合的に見ると台車牽引よりもバンに積んだ方が勝っているのは明らかです。
台車のアドバンテージは積むのが簡単ということと、
走っていて「おー飛行機だ、飛行機運んでる!」と
誰もが感心してくれるの2点ですが、運転しているとみんな寄ってくるので
非常にあぶないと感じることが多いらしく、これはむしろ欠点かもしれないです。
なおハング翼は折りたたんで棒状にすることができるので車の屋根に積むのが一般的です。

ところでつまりトライクはバンに積めてしまうわけです。
トライクと言えば望めば数100キロ先まで行って帰ってくる
こともでき(エキストラタンクを搭載する必要があります)操縦は難しくなりますが
強風にもそれなりに耐えることができる性能を持っています。
これほどの性能を持った飛行機でありながら
バンに積めてしまうというのは世界でトライクしかありません。
ばーっとバンで乗りつけ、すばやく組み立て大空に飛びたつ。
まさに007ばりのことがトライクやっていると簡単に実現するのです。

しかしこれ本当のことで、トライク乗りは非常に機動性があります。
わたしもこの夏、トライクを積んだバンで
フェリーを使い北海道に渡り、広大な十勝平野の空を楽しみ、トライクを乗せた
バンをのざらし駐車して一度東京に戻り仕事して再び北海道で飛行して
フェリーで帰ってきました。

余談ですが、以前から冗談で
東京都民全員非難せよ!なんて場合、トライクで避難できるぞ。離陸場所は新宿御苑か明治神宮あたりがねらいめ、などと言っていましたが、
3.11で福島原発の重大事故がおき、冗談ではなくなりました。

2011年10月28日金曜日

トライクくんとは

実は、私はピークワンの人間ではありませんで
ピークワンのレッスン生です。
ピークワンで使われるウルトラライトプレーンのことを
通称トライクと呼ぶのにちなんで「トライクくん」と名乗っています。

このブログは西新宿に貼ってありますポスターの
補足説明のために作ったものです。
(そのポスターを見てこのブログを見た方も多いと思います(?!))

西新宿のポスターとは
「トライク(ウルトラライトプレーン)をやりませんか?
やりたい人は私が見学に連れて行って
あげます」
という趣旨のものです。

トライク(ウルトラライトプレーン)は日本のきびしい航空法にしばられてのことも
あるのですが、やる人も多くはなく、ピークワンでも
レッスン生が順調に卒業して行ってしまうとレッスン生が
足りなくなってしまうという事態が生じ、今ちょうど
そんな時なのです。
ですからぜひいっしょにトライク(ウルトラライトプレーン)をやる仲間が欲しいなぁ、
そのためにちょっと努力してみよう!
というのがポスターとこのブログで、
わたしとしては完全にボランティアで宣伝活動をしています。

わたしはグライダーもやっていたのですが、それと比べても
トライク(ウルトラライトプレーン)は今、洗練されて、安全なスカイスポーツの域に達しています。
そして動力機による空飛びものとしては破格に安いのが大きな魅力です。
グライダーですと1回のフライトに6、7千円かかります。
陸上単発機(いわゆるセスナ)だと1時間あたり3,4万円かかるのでは
ないでしょうか?

それらに比べるとトライク(ウルトラライトプレーン)はとてもリーズナブルで、かつ整備士や航空管制の
手をわずらわせることもないので、自由に空に行って帰ってこれる
空は自分のものという感覚があります。これらのことが私がグライダーから
トライク(ウルトラライトプレーン)に乗り換えた大きな理由です。

メールなり携帯で連絡をいただければ、見学日程を相談させて
いただきますからお気軽にコンタクトしてきてください。
見学の結果やるやらないはまったく自由です。

ところでレッスン料35万円で飛べるようになるまでのセット料金というのは
まったく破格の値段設定なのです。これだけでとにかくたくさん飛べますから。
これに目をつけた、かなり年配の方がおられまして

「操縦できるようになるのは無理だろうから、1年遊覧飛行をさせろ」

とおっしゃいましてレッスン生になりました。
最初はカメラなど持って遊覧を楽しんでいたようですが
だんだん操縦練習するようになり、こないだ初ソロ(単独飛行)
をしてしまい機体まで購入してしまいました。

機体購入のことでちょっと説明しますが、35万円のレッスン料は
ほどんど儲けがなく、ピークワンではレッスン生が卒業後機体を
購入してくれることを期待しています。
もちろん機体の購入には強制も押し付けもありませんが
ウルトラライトプレーンでは航空法で、飛ぶ本人の許可(ライセンス)と
滑空場で飛ぶ許可、機体の登録と3つをセットで取らないと
飛べないので、それらのことをやってくれて、かつメンテナンスの
相談に親身にのってくれるというメリットのあるピークワンでの
機体購入を選ぶ卒業生は圧倒的に多いのは事実です。



2011年10月25日火曜日

レッスンで使われる機体

ピークワンで使われるウルトラライトプレーンは
トライクと呼ばれる型でハンググライダーの翼に
プロペラ付胴体が釣り下がったような構造になっています。

ピークワンはトライクのメーカーでもありまして、
レッスンで使われるのはピークワン製、ツインスター。
ウルトラライト専用に開発された水平対向2気筒4サイクルエンジンを
搭載した二人乗りです。レッスン生は前部座席、教官は後部座席に乗ります。

離陸速度、巡航速度、着陸速度ともに約時速65キロ。
滑走を始めて速度が65キロに達すると否応なくふわりと
浮き上がります。上昇性能はすばらしく、すぐに
安全高度に達することができ、上空ではハング翼の
性能のおかげで非常に安定します。極言すれば
手を離していても安定して飛んでいます。

着陸は、機体の速度、高度、進入角度、機体の傾き
などなどとやたらチェックポイントが多く、これらの
ことのチェックがオートマチックにできるように
訓練されなければできるものではないのですが
いずれそれができるようになります。

着陸で一番大切なことは機速を65キロより落とさないこと。
時速65キロあるから浮いていられるのであって
たとえ高さ1メーターから落下しても衝撃はかなりの
ものですから接地までは機速65キロを保って浮いていないと
いけません。1年かけてここらへんのことを体に染み付かせるのです。

写真でもわかるように操縦席では体むき出し、360度の眺望が
ありますから、多くの人がこれに乗ると「まるでナウシカのメーヴェだ!」
という感想を言います。

2011年10月24日月曜日

毎日曜日のレッスン

ピークワンのレッスンは毎日曜日に熊谷で行われています。
熊谷市近くの荒川の河川敷脇の畑地を借りて整備して
滑空場としています。

公共交通機関では行きづらい場所です。
高速で利用するインターは関越自動車道の東松山。
東松山から20分くらいで滑空場到着します。
最寄駅を挙げるとするなら、JR高崎線熊谷駅または行田駅です。

先ずピークワンでのレッスンについてお話しましょう。
レッスン代は35万円。これだけで単独飛行して飛行許可証を
発行するまで面倒を見ましょうというのがピークワンの方針です。
レッスンは午前10時ごろから順番で行われ、最初からある程度
操縦を任されます。少なくともビギナーのうちは
1回の飛行時間は約15分。それを3回すると1日の
レッスンは終了。だいたいそれでレッスン生はいっぱいいっぱいに
なります。経験的にそれ以上やってもレッスン生の集中力が
なくなるので効果が少ないということがわかっています。

単独飛行ができるまでの飛行時間ですが、運動神経、才能あまり
関係なく約20時間です。
1日の飛行時間が約45分ですから、20時間の飛行時間を得るまでに
1年かかると考えてもらってよろしいかと思います。
ただレッスンは大空を飛ぶことですから、文句なしに楽しいものです。
1年間充分楽しめること請け合いです。